倉敷医療生協 歯科診療所グループ|歯周病治療、虫歯治療から矯正歯科、インプラント治療までトータルケア致します。

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倉敷医療生活協同組合 歯科診療所グループ
Medical Coop Dental Group

歯周病治療

歯周病は歯周ポケット内の歯周病菌により歯を支えている歯槽骨が吸収していく病気です。治療の主力は菌とその代謝産物であるプラークを生体の抵抗力以下にコントロールすることです。歯茎の周りのブラッシングで除去できるところは本人の守備範囲です。赤染して磨けていないところがどこかチェックして熟達していくことが大事です。歯周ポケットの中はブラシが届かないので専用の器具を使い取り除きます。プラークが石灰化した歯石も一緒に除去します。歯周ポケットが5ミリ以上になると安定するまで1年から2年かかります。受診の際には、このポケットの数値の変化に注目してください。

歯周ポケットの測定
歯周ポケット測定は、歯周病の進行度を測る最も重要な検査です。3ミリまでが健全で、7ミリを超えると重症です。ポケット診査時に出血があるかどうかは、歯周病の改善のチェックに大事な指標となります。ポケットが浅くても出血があれば、歯肉に炎症があります。少し深いポケットでも出血が無ければ歯周病は安定した状態です。
歯周ポケットの測定
歯周治療による歯肉の変化
初診時
上顎大臼歯口蓋側が腫れています。歯周ポケットは7ミリ以上で出血、排膿がありました。
歯周治療による歯肉の変化:初診時
3か月経過
ブラッシングに時間をかけて歯茎をしっかり磨いてもらいました(プラークコントロール)。口蓋側の腫れは治まりました。プラークコントロールは歯周治療で最も大事です。これをマスターすることが歯周病を治す一番の近道です。ブラッシングは自己流ではうまくいきません。歯科衛生士の指導をきちんと受けてください。
歯周治療による歯肉の変化:3か月経過
1年10ヵ月経過
歯周治療による歯肉の変化:1年10ヵ月経過歯と歯の間の歯肉が引き締まってきています。この状態を維持することが大事です。歯肉の炎症が治まることにより歯支えている歯槽骨も安定していきます。
歯周治療による骨の変化
歯周治療による骨の変化歯肉の炎症が取れて歯肉が引き締まってくると、次に歯槽骨が改善してしっかりしてきます。
歯周治療とその後のメインテナンスの成果
歯周治療とその後のメインテナンス(メンテ)の成果は残存歯数の差となって現れます。
玉島歯科診療所でのデータで見てみます。1993年以降の来院者で直近の3年間に3回以上メインテナンスに来院している患者317名(平均値・メンテ回数10回、初診から9年以上経過)と当院を受診された非メンテの初診患者667名(グラフの非メンテは玉島・浅口地域の平均残存歯数を示す。)を比較するとメンテ来院者の残存歯数は、50~54歳で2.3本、60~64歳で3.5本、70~75歳で6.2本、80~歳では8.8本多く残っています。メインテナンス来院者の平均値で8,020達成まで手の届くところまできています。
たばこと歯周病
喫煙者681名と非喫煙者2,810名(玉島歯科に来院された直近3年間の患者。)を比較すると喫煙が歯(歯周組織)に及ぼす影響がはっきり表れます。たばこを吸い続けると確実に歯を失うことになります。喫煙は歯周病を悪化させる重大なリスクファクターです。これは喫煙により、歯周病菌と戦う免疫機能の抑制、毛細血管の収縮による十分な血液の供給不足、歯周病菌の繁殖しやすい環境ができることなどに因ります。 残存歯数を向上させる為に禁煙をすすめることは歯科においても大事な予防の柱の一つです。
糖尿病と歯周病
歯周病は、糖尿病の慢性合併症の1つとして最近注目されています。糖尿病の患者さんで、血糖コントロールがうまくいっていないと、免疫力や治癒力が低下して、歯周病の原因となる細菌の増殖を十分に抑えられず、歯周病が悪化しやすくなります。また、歯周病で歯肉に炎症が起きていると、炎症を引き起こす物質が過剰に作られその刺激で糖尿病が悪化するといわれています。
写真は重度の歯周病で歯周治療と抜歯することによりHbA1cが6.5から5.8へと改善した方です。内科での治療、生活習慣に変化はなく、歯科治療の影響が大きかったと推測されます。
糖尿病と歯周病
薬剤と歯周病
歯肉肥大を起こす薬剤として、てんかん患者に投与されるダイランチン(服用者の50%)、降圧剤として使用されるカルシウム拮抗剤(ニフェジピン服用者の約7%)、免疫抑制剤として使用されるシクロスポリン(同30%)が知られています。
この方は、SLEでステロイドと免疫抑制剤ネオラール(シクロスポリン)2007年11月より服用されています。体調が悪く1年ほど来院されていませんでした。歯肉の増殖により歯牙が動いています。内科での薬剤のコントロールと歯周の管理をしっかりしていく必要があります。
薬剤と歯周病
妊娠と歯周病
歯周病で増加する炎症性物質には、子宮を収縮させ、陣痛を促進させる作用があり、早産・低体重児出産のリスクは、歯周病のある妊婦のほうが高いという結果が出ています。
写真は36才、妊娠10ヵ月の時のスライドです。歯肉の退縮はみられませんが、歯周ポケットを測定すると重度の歯周病が疑われました。レントゲン写真で見ると歯槽骨は1/2から2/3吸収していました。歯周病菌の母子感染もあり赤ちゃんの健康のために、出産を考えられている方は歯科を受診し、歯周病のチェックが必要です。
妊娠と歯周病
誤嚥性肺炎と歯周病
誤嚥性肺炎と歯周病の関連では多くの関連施設で口腔ケアーが取り組まれています。写真左右とも認知症で自分ではブラッシングができません。家族の方に口腔ケアーが委ねられていますが歯周病をコントロールするのは実際のところなかなか困難です。
誤嚥性肺炎と歯周病